生まれたばかりの息子を前に、わたしが最初に感じたのは「可愛い」ではありませんでした。
ちゃんと息してるよね。ちゃんと眠りから覚めるよね。そんな心配ばかりが先に立って、可愛いと思う余裕がなかったんです。
不妊治療を3年続けて、37歳でやっと母になったわたしの、これが正直なスタートでした。
でも9ヶ月たった今、はっきり言えることがあります。育児でわたしがいちばん驚いたのは、世界が思っていたよりずっと優しかったこと。そして、息子の可愛さが毎日更新されていくことでした。
知らない人が、こんなに助けてくれるなんて
ベビーカーで初めて電車に乗った日のことです。
正直なところ、めちゃめちゃ心臓バクバクでした。顔にも余裕がなくて、たぶん険しい表情をしていたと思います。ベビーカーで電車なんて、冷たい目で見られるものだと思っていたので。じつはその一本前の電車は乗るのに失敗してしまって、次を待ってようやく乗れた電車だったんです。
ところが実際は、並ぶ場所を間違えていたわたしに、年配のご夫婦が声をかけてくれました。ベビーカーの操作にもたついていたら、車内から手を伸ばして引っ張ってくれて。混んでいる車内で申し訳ない気持ちでいっぱいだったけれど、優しい目でこちらを見て、助けてくださる方がこんなにいるんだと感動しました。
エレベーターでは、海外の元気なお姉さんと一緒になったことがあります。
人が先に乗っていたエレベーターは見送って、次のに息子とふたりだけで乗り込みました。正直、自分たちだけのほうが気を遣わなくていいなと思っていたんです。ところがドアを閉めかけたところに「スイマセーーーン!!」の声。しょうがなくドアを開けたら、ちょうど反対側のホームに電車が着いたところで、あれよあれよという間に満員に。
そのお姉さんが、わたしと息子に話しかけてくれました。「赤ちゃん?オメデト!男?女?」と聞かれて「男!」と答えたら、「プリンス!!」と満面の笑顔。降りるときは「先にどうぞ!がんばってね!」とベビーカーを通してくれました。まだ子育て経験のない若い方だと思います。それでわたし、とっても笑顔になれたんですよね。
「可愛い」より「心配」だった新生児期
産んだらすぐ、可愛くてたまらなくなるものだと思っていませんか。わたしはそう思っていました。
実際の新生児期は、可愛いと思うより先に「大丈夫かな」でした。息をしているか何度も確かめて、眠りから覚めるかを心配して。親から「産後1ヶ月くらいで可愛いと思えるようになった?」と聞かれたときも、正直、可愛いより心配のほうが大きかったです。
変わってきたのは、首がすわって、寝返りができるようになった頃から。
体がしっかりしてきた実感があって、ようやく少しずつ安心できるようになりました。もちろん今も、乳幼児突然死症候群(SIDS)のことなど、心配が消えたわけではありません。それでも「この子は生きていってくれる」と思える瞬間が、少しずつ増えていきました。
可愛さは「毎日更新される」
わたしはずっと、赤ちゃんは小さければ小さいほど可愛いと思っていました。
でも先輩ママたちから「意思の疎通がとれるようになると、もっと可愛くなるよ」と何度か聞いて。そのときは、ほんとかなあと半信半疑だったんです。
息子が9ヶ月になった今、断言できます。ほんとでした。
表情も、聞かせてくれる声も、どんどん変わっていきます。5ヶ月の頃に初めて声を出して笑ってくれて、9ヶ月の今は笑い声がさらに進化。かなりの笑い上戸で、なぜか眠たいときによく爆笑するので、「あなた眠たいんでしょ、笑ってないで早く寝なよ」と、わたしも笑いながら言っています。
そんな瞬間が、とても幸せです。
3年間、真っ暗闇を歩いていたわたしが今思うこと
ここからは少しだけ、不妊治療の話をさせてください。読むのがつらい方は、飛ばしてもらって大丈夫です。
じつはわたし、もともと小さい子と接するのが得意ではありませんでした。どう接していいかわからない、という意味で苦手だったと思います。それでも「大人になったら、自分も家族と同じように家庭を持って生きていく」と、どこかで当たり前のように思っていました。
その「当たり前」は、当たり前ではありませんでした。わたしの3年間は、真っ暗闇の中をあてもなく歩いているような時間でした。妊娠しても流産や死産のことが頭から離れず、産むまでも、産んでからも、ずっと何かを心配していた気がします。
だからこそ、いま息子と過ごせている毎日が、わたしにとってどれだけ特別か。
「家庭を持つのは当たり前」と思っていた昔の自分に、当たり前なんてひとつもなかったよ、と伝えたいです。治療の経過も結果も人それぞれで、これはあくまでわたしの場合の話。それでも、ずっと命の心配ばかりしてきたぶん、この2〜3ヶ月でやっと「なるようになれ」と、おおらかな気持ちで育児を楽しめるようになってきました。
まとめ:世界は思っていたより優しかった
育児でいちばん驚いたこと。それは、大変さよりも先に書きたくなるくらい、世界が優しかったことでした。
電車で手を貸してくれたご夫婦。「プリンス!」と祝福してくれたお姉さん。そして毎日、可愛さを更新してくる息子。
いま赤ちゃんとの外出が怖い方や、「可愛いと思えない自分」に戸惑っている方がいたら、伝えたいです。わたしも最初は心配ばかりでした。可愛いと思える日は、あとから少しずつ来ました。だから大丈夫、とわたしは思っています。
このブログでは、そんなわたしと息子の毎日で「実際に使ってよかったもの」「困ったこと」も、これから正直に書いていきます。同じ時期のママさんの参考になれたら嬉しいです。


コメント